2013年7月13日土曜日

北越雪譜 初編 巻之上 1.1.05.雪の用意 (ゆきのようい)

1.1.05.雪の用意 (ゆきのようい)

前にいえるがごとく、雪、降らんとするを (はか) り、雪に損ぜられぬ (ため) に屋根に修造 (しゅうぞう) を加え、梁柱廂 (うつばりはしらひさし) [家の前の屋翼 (ひさし) 里言 (りげん) に「ろうか」という。すなはち廊架 (ろうか) なり] 其の外すべて居室 (きょしつ) (かか) る所、力弱きはこれを補う。雪に潰されざる為也。

庭樹 (にわき) は大小に (したが) い、枝の (まぐ) べきはまげて縛束 (しばりつけ) 椙丸太 (すぎまるた) 又は、竹を添え杖となして枝を (つよ) からしむ。雪折れをいとえば也。冬草の類は、菰筵 (こもむしろ) を以て覆い包む。井戸は小屋を懸け、 (かわや) は雪中、其の物を (にな) わしむべき備えをなす。

雪中には一点の野菜もなければ、家内 (かない) 人数 (にんず) にしたがいて、雪中の食料を貯う。 [あたたかなるように土中にうずめ、又は、わらにつつみ桶に入れて、こおらざらしむ] 其の外、雪の用意に種々 (しゅじゅ) 造作 (ぞうさ) をなす事、筆に尽しがたし。



参照リンク:
私の北越雪譜 雪の用意



単純翻刻

○雪の用意(ようい)

前(まへ)にいへるがごとく雪降(ふら)んとするを量(はか)り雪に損(そん)ぜられぬ為に屋根(やね)に修造(しゆざう)を加(くは)へ梁柱廂(うつばりはしらひさし) [家の前の屋翼(ひさし)を里言(りげん)に「らうか」といふすなはち廊架(らうか)なり] 其外すべて居室(きよしつ)に係(かゝ)る所力弱(ちからよわき)はこれを補(おぎな)ふ雪に潰(つぶさ)れざる為(ため)也庭樹(にはき)は大小に随(したが)ひ枝(えだ)の曲(まぐ)べきはまげて縛束(しばりつけ)椙丸太(すぎまるた)又は竹を添(そ)へ杖(つゑ)となして枝(えだ)を強(つよ)からしむ雪折(をれ)をいとへば也冬草(ふゆくさ)の類(るゐ)は菰筵(こもむしろ)を以覆(おほ)ひ包(つゝ)む井戸は小屋を懸(かけ)厠(かはや)は雪中其物を荷(になは)しむべき備(そなへ)をなす雪中には一点(てん)の野菜(やさい)もなければ家内(かない)の人数(にんず)にしたがひて雪中の食料(しよくれう)を貯(たくは)ふ [あたゝかなるやうに土中にうづめ又はわらにつゝみ桶に入れてこほらざらしむ] 其外雪の用意(ようい)に種々(しゆ/゛\)の造作(さうさ)[ママ]をなす事筆(ふで)に尽(つく)しがたし

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