2013年7月13日土曜日

北越雪譜 初編 巻之上 1.1.08.雪竿 (ゆきさお)

1.1.08.雪竿 (ゆきさお)

高田 (たかた) (しろ) 、大手先の広場に、木を (かく) に削り尺を (しる) して建て給う、是を雪竿 (さお) という。長さ一丈也。雪の深浅公税 (しんせんこうぜい) (かか) るを以てなるべし。高田の俳友 (はいゆう) 楓石子 (ふうせきし) よりの書翰 (しょかん) に [天保五年の仲冬] 雪竿を見れば当地の雪、此の (せつ) 一丈に (あま) れりといひ (きた) れり。

雪竿といえば、越後の事として俳句にも見えたれど、此の国に於て高田の外、无用 (むよう) の雪竿を (たつ) る処、昔はしらず今はなし。風雅をもって我が国に遊ぶ人、雪中を避けて三 () の頃、此の地を踏むゆえ、越路の雪をしらず。然るに越路の雪を (こと) () 作意 (つくる) ゆえ、たがう事ありて、我が国の心には笑うべきが多し。



註:
・三夏(さんか) 陰暦の四月・五月・六月にあたる、孟夏(もうか)[夏のはじめ]・仲夏(ちゅうか)[夏のなかば]・季夏(きか)[夏のすえ]の三つの総称。

・書翰(しょかん) 手紙のこと。



参照リンク:
私の北越雪譜 雪竿



単純翻刻


○雪竿(さを)

高田(たかた)御城(しろ)大手先の広場(ひろば)に木を方(かく)に削(けづ)り尺を記(しる)して建(たて)給ふ是を雪竿(さを)といふ長一丈也雪の深浅公税(しんせんこうぜい)に係(かゝ)るを以てなるべし高田の俳友(はいいう)楓石子(ふうせきし)よりの[書]翰(しよかん)に [天保五年の仲冬] 雪竿を見れば当地の雪此節(せつ)一丈に余(あま)れりといひ来(きた)れり雪竿といへば越後の事(こと)として俳句(はいく)にも見えたれど此国に於て高田の外无用(むよう)の雪竿(さを)を建(たつ)る処(ところ)昔はしらず今はなし風雅(ふうが)をもつて我国に遊(あそ)ぶ人雪中を避(さけ)て三夏(か)の頃(ころ)此地を踏(ふむ)ゆゑ越路(こしぢ)の雪をしらず然(しか)るに越路(こしぢ)の雪を言(こと)の葉(は)に作意(つくる)ゆゑたがふ事ありて我国の心には笑(わら)ふべきが多(おほ)し

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